保内町観光ボランティアガイドの会 発足経過について

ガイドの会会員 那須 弘

 保内町(特に川之石地区)には、幕末から明治·大正にかけて、産業·経済の町として発展し、素晴らしい近代化遺産(建造物·町並み)が残っています。

 1.海運業 江戸後期より雨井地区において千石船による大阪·九州方面との交易。
 2.木蝋業 宮内、喜須来地区を中心にハゼが栽培され、藩政期は換金作物として藩の保護奨励を受けていた。品質が良く県内で最もハゼ栽培が盛んな地区であった。
 3.蚕種業 明治13年頃喜須来村で始まり保内地域に広がりました。明治17年川之石に養蚕農家に原料(蚕の卵)を供給する蚕種製造業(現「愛媛蚕種株式会社」)開業。
 4.鉱業(銅山) 佐田岬半島は、最盛期には約80鉱区を数え、川之石に大峰銅山が明治24年白石和太郎によって創業、四国では別子銅山に次ぐ出鉱量を誇った。
 5.紡績業 明治22年12月宇和紡績が創業開始、この時四国で最初の電灯が灯る。その後、合併の変遷を経て東洋紡績㈱川之石工場として操業、昭和35年閉鎖。
 6.金融業 明治11年1月29日県下で最初の「第二十九國立銀行(現、伊予銀行川之石支店)」が創立認可され、3月15日営業開始された。合併の変遷を経て、現在の伊予銀行㈱の礎になっている。

 川之石では近代化遺産として、次の通り3つの登録有形文化財(建造物)があります。
 ①愛媛蚕種㈱……第38—004~006号(平成11年6月7日登録)
 ②内之浦公会堂……第38—0016号(平成13年4月24日登録)
 ③旧川之石浦庄屋二宮家住宅石垣塀……第38—0024号(平成15年2月14日登録)

 このような歴史的景観の活用を願い、当時の保内町商工会「都築隆」会長が、地区外の方に保内町の素晴らしい近代化遺産を見ていただき、地域の活性化になるよう、ガイドの会設立を提案。保内町観光協会(当時)に働きかけ、準備を進めた。

 平成14年7月「観光ボランティアガイド養成講座受講生募集」を保内町広報に載せ募集したところ33名の受講生(保内大学生、女性塾、商工会職員、保内町職員、一般)の応募があり、その後有志により養成講座設立等の打合せ会等を行う。
平成14年9月1日「保内町観光協会・保内町商工会」共催で開講式(21人出席)を迎える事が出来た。講師は、保内を愛し·保内の近代化遺産(特に川之石地区)を世に紹介し、広めて頂いている(元愛媛県近代化遺産調査主任)「岡崎直司」氏を迎えて養成講座が開かれる事になった。

○第2回講座(19人出席) 保内町の歴史、他の市·町に無い見所のスライド研修·八幡濱みてみん會代表菊池勝徳氏を招きガイドの体験談の話を聞く。
○第3回講座(16人出席) 現地研修(川之石地区の町並みを歩き勉強する)
○第4回講座(16人出席) 現地研修(喜須来地区·柳谷銅山等)
○第5回講座(16人出席) 前回の現地をスライドで研修·ガイドのスポット場所を選定する。
○第6回講座(19人出席) 内之浦・雨井地区現地研
○第7回講座(15人出席) 保内町(特に川之石地区)地図にガイドスポット場所を記入する、今後のガイドの有り方について話し合う。
平成15年3月18日閉講式(17人出席) 養成講座「修了証書」交付。
その後、受講生を対象にガイドの会の入会をお願いする。(19人入会登録)

平成15年4月20日念願の「保内町観光ボランティアガイドの会」の発会式を迎える事が出来た。
  発会式では、「保内町観光ボランティアガイドの会会則」を承認し、保内町観光協会·保内町商工会の助成金を財源とし、基本的な運営は自主グループとしての主体性をもって活動する。

 会の代表に「大上 昭」氏を選任し、観光ガイドの活動を開始する事になった。
会則の目的「保内町の貴重な文化遺産である町並み等について学習し、見識を高めながら、観光客·グループ見学等に対する親切で温かいガイドを通して、町内外の人間関係を深め、町づくりに参加することを目的とする。」を遵守し、見学にこられた方達に思い出に残る風景·雰囲気·歴史を感じていただける楽しいガイドが出来ればと思っております。

 最後に、会の発足後10年を迎える事が出来ましたが、町並みも少しづつ変化しております、地区外からの見学·観光も多くなり些少なりともガイドの会が認知され、地域の活性化に貢献できればと思っております。

観光ボランティアガイド養成講座・開講式

観光ボランティアガイド養成講座 開講式

観光ボランティアガイド養成講座の様子

観光ボランティアガイド養成講座の様子